金型用ガススプリングとは?仕組みや使い方・選び方なども解説

金型設計や加工現場において、「コイルスプリングでは荷重が足りない」「スペースが確保できない」といった課題に直面するケースは少なくありません。 そうした課題を解決できる部品が金型用ガススプリングです。

本記事では、金型用ガススプリングの基本的な仕組みや特徴をはじめ、使い方や選び方などを解説します。 金型用ガススプリングについて知りたい方や、製品をお探しの方はぜひご覧ください。

金型用ガススプリングとは?

圧縮した窒素ガスをシリンダー内に封入し、そのガス圧を利用してプレス加工などの金型において安定したスプリング力を発揮する機械部品です。 主にストリッパやしわ押さえ、パッド押さえなど、材料を一定の力で押さえる用途に用いられます。

プレス金型の圧力源は、基本的にコイルスプリングが使用されますが、 より高い荷重や安定した押圧が求められる場面、また設置スペースが限られる場合は、ガススプリングの使用が適しています。

構造・仕組み

ガススプリングは、シリンダー内部に封入された窒素ガスとピストンロッドで構成されています。 ピストンが押し込まれることで内部のガスが圧縮され、その反発力によって荷重が発生する仕組みです。

窒素ガスが使用される理由は、化学的に安定しており不燃性であることからも安全性が高く、温度変化による影響も比較的少ないためです。

コイルスプリングとの比較

プレス金型の圧力源として、まず検討されるのはコイルスプリングです。 しかし、ガススプリングは部品単価が比較的高い一方で、以下のような条件では金型全体のコスト低減や性能向上につながる場合があります。

  • コイルスプリングでは必要な荷重が確保できない
  • 金型が小さく、コイルスプリングを十分に配置できない
  • 金型高さに制限があり、コイルスプリングが収まらない
  • 必要なストロークが長く、コイルスプリングでは対応が難しい
  • 初期荷重が必要な場合(コイルスプリングは初期荷重ゼロ)

ガススプリングのメリット

ガススプリングの主なメリットとして、以下が挙げられます。

高初期荷重
コイルスプリングは押し込むまで力が発生しませんが、ガススプリングはストロークがゼロの状態でもすでに荷重がかかっているため、押した瞬間から力を発揮します。その特性により、安定した押圧力が必要な加工に適しています。

組付けやメンテナンスが比較的容易
設置がシンプルで、交換や管理もしやすいため、現場での運用負担を軽減できます。 さらに、作業の標準化がしやすく、保守点検の時間短縮にもつながります。結果として、生産ラインの停止時間を抑え、安定した稼働を維持しやすくなる点もメリットです。

省スペース性
コイルスプリングでは複数本必要な荷重でも、ガススプリングであれば少ない本数で対応できるため、金型の小型化や設計自由度の向上につながります。

金型用ガススプリングの使い方

金型用ガススプリングの取り付け方法や使用時の注意点を解説します。

取り付け方法

ガススプリングは、金型のストリッパプレートやパッド部などに組み込んで使用されます。 基本的にはボルトで固定し、ピストンロッドが上下にスムーズに動作できるように配置します。

設計時には、必要な荷重やストロークに応じて配置本数や設置位置を検討する必要があり、均等に荷重がかかるように設置するのも重要なポイントです。

使用時の注意点

ガススプリングを安全に使用するためには、いくつかの注意点があります。

まず、偏荷重を避けることが重要です。ガススプリングは横方向の力に弱いため、荷重が一方向に偏ると寿命低下や破損の原因となります。 そのため、金型設計段階で均等に力がかかる構造にする必要があります。

また、異物の混入にも注意が必要です。金型内部に切粉やゴミが入り込むと、シール部の損傷や動作不良につながる可能性があります。

ガスの過充填や誤った使用条件は、最悪の場合、金型破損や事故につながるリスクもあります。仕様範囲内で適切に使用することが不可欠です。

金型用ガススプリングを選ぶ際のポイント

ガススプリングを選定する際は、以下のポイントを意識しましょう。

荷重
必要な押圧力を満たしているかを確認し、余裕を持った選定を行うことが求められます。 加えて、加工条件のばらつきや長期使用による性能低下も考慮し、安全率を見込んだ設計が重要です。 荷重が不足すると製品品質に影響し、過剰な場合は金型への負担増加につながるため、適正なバランスが求められます。

ストローク長さ
必要な可動範囲に対して適切なストロークの製品を選ぶことも重要です。 不足すると十分な機能が発揮されません。また、ストロークの余裕が少ない場合、底付きや過負荷の原因となるため注意が必要です。 加工工程全体の動きを考慮し、安定して動作できる範囲で選定することがポイントになります。

サイズ(外径)・最大速度
特に高速で動作する金型では、対応可能な速度範囲を超えると寿命低下の原因になります。 さらに、外径サイズは金型内のスペース制約に大きく影響するため、配置設計とのバランスも重要です。 コンパクトさと性能の両立を図りながら、使用条件に適した仕様を選ぶことが求められます。

使用環境
高温環境や油・液体がかかる条件では、製品の耐久性やシール性能に影響が出るため、用途に適した仕様を選定する必要があります。 過酷な条件下では専用仕様の製品を検討するのも有効です。

それらの条件を誤ると、性能低下だけでなく早期故障につながるため、慎重な選定が求められます。

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まとめ

金型用ガススプリングは、窒素ガスの圧力を利用して安定した荷重を発生させる部品であり、コイルスプリングでは対応が難しい課題も解決できることがあります。

高初期荷重や省スペース性といった特徴により、金型設計の自由度を高め、生産性の向上にも寄与します。 一方で、適切な設計や選定を行わなければ、性能が十分に発揮されない点には注意が必要です。

用途や条件に応じた適切な製品を採用することで、より安定した加工と長寿命化を実現できるでしょう。